パナソニック・ホームパナソニックの店トップ > お客さまと店の間に“それぞれの物語” > 震災から始まったでんきや人生20年の話(エリアプロよしかわ)

商圏を広げるよりも、こころの届く距離を大事にしているんです。

僕のでんきや人生は、阪神淡路大震災とともに始まりました。

今年は阪神淡路大震災から20年。僕もでんきやとして、20歳になります。あの当時僕は、
いずれ親父の店を継ぐために、京都のでんきやさんで修業を始めたばかりでした。
親父もおふくろも無事でしたが、震災で須磨の商店街は将棋倒しとなり、うちの店も全壊しました。
あのときは本当にいろいろな方のお世話になりました。震災当日、心配で居ても立ってもいられない
僕に、京都の同僚が付き添ってくれ、一緒に二日がかりで須磨まで歩いて帰りました。多くの
仕事仲間のみなさんが、天保山から長田港まで船に乗り、毎日毎日、日帰りで手伝いに来てくれました。
親父はその当時のことを思い出すと、街のみなさんにも本当に励まされたと言います。
“乾電池ないかぁ?”“ラジオないかぁ?”“ジャーポットないかぁ?” -- 街の人たちの
頑張ろうとする声に、茫然としている場合じゃない、と奮起。かろうじて残った倉庫の片隅に
ブルーシートを広げ、復旧したばかりの電話を引き、仮事務所にしました。避難所へ、仮設住宅へ、
引越し先へ、必要な物資をフル回転でお届けする日々。避難所となった学校では、
テレビが見たいという避難住民の方々のご要望に何とか応えようと、校庭のジャングルジムに
古いアンテナを取り付け、教室まで線を引っ張たことも…。
そして震災の翌年、元の場所に、新しい店を再開。僕のでんきや人生は、
未曾有の大災害とともに始まり、須磨の街の復興とともに歩んできたようなものです。

その日のお困りごとは、その日のうちに。わからないことは、何度でも。ご近所づきあいじゃないと、そうはいきません。

あれから20年。昔もそうですが、うちの店は、「その日にご要望があったことは、
その日のうちに駆けつける」をモットーとしています。震災の影響もあってか、
街からは畳屋さんなど、みんなが頼りにしていた「街の◯◯◯屋さん」という地域密着の専門店が
姿を消していきました。いまは、何か困ったら、「よしかわに聞いてみい」がお客さまの口癖。
“網戸が破れた”“サッシの動きがわるい”“カギを忘れた”などから、“わけのわからないメールが
来た”なんていうことまで、実にさまざまなお困りごとが寄せられます。
今日はこれから、つい先日ファクスをお取り替えいただいたお宅に、使い方のご説明に伺うところ。
「やり方がわからなくなった」とのお電話をいただいたのですが、今日お教えするのは、
わからなくなったその一点についてのみ。
一度にあれこれ説明しても混乱されると思いますし、次にわからないことが出てくれば、
またその都度お伺いすればいいことですから。こういうやり方を大事にしたいと思うと、
むやみに遠くまで商圏を広げるのもどうかな…と思うんです。広く浅いお付き合いより、
ひとりひとりのお客さまのこころの深くまでお応えできるような関係でいたい。
距離の近さは、こころの近さだと思います。

震災後に建てたお宅が、そろそろリフォームの時期。お客さまがイメージするベージュ色は、このベージュか?僕の仕事は、お客さまの思いの「翻訳家」でもあります。

震災直後は家を建てるのも人手不足でしたから、全国から工務店さんが集まってくださり、
協力してくれました。しかし20年たったいま、リフォームしようとしても、元の業者さんのことが
わからない。そんなケースもけっこう多く、リフォームのご相談を受けることが増えています。
家というのは、住む人のライフスタイルはもちろんですが、性格や好みまでわかっていなければ、
満足のいく仕上がりにならないと思うのです。たとえばベージュという色ひとつにしても、
お客さまがイメージしているベージュはこの色かどうか判断できるくらいでないと。
大がかりなリフォームを進めるときには、お客さまと、専門の設計士さんや大工さんとの
橋渡し役もします。専門家の話はお客さまには理解しづらいものですし、専門家はお客さまの
こころに秘めた思いをなかなか汲み取れない。間に立って、双方の言いたいことを翻訳するのが、
僕の役目。ときには、その場で簡単なラフスケッチを僕が描くこともあります。

瓦礫とともに始まり、街の人たちと歩み続けてきた、僕のでんきや人生。
みんなに「ありがとう」の気持ちでいっぱいです。親父はいつも、「人に喜んでもらえる、
ありがたがられる。こんないい商売はない」と言っています。おふくろはずーっと昔からいまでも、
お客さまである奥さま方の誕生月にお贈りするバースデーカードを描き続けています。

お店の情報

店名 Area Pro よしかわ 店舗詳細へ
電話 078-731-1688
住所 〒654-0047 兵庫県神戸市須磨区磯馴町4丁目1-24
※ここでご紹介したサービスは、その店独自のものです。すべての店で行われているものではありません。
  • 松下幸之助は私たちの中に生きている パナソニック100年 あなたの街のでんきや物語 街を元気にプロジェクト著 PHP研究所出版
  • パナソニックの店のうたができました
  • 街の元気屋さん 街を元気にプロジェクト著 PHP研究所出版

一覧へ戻る

パナソニックの店 公式SNS

  • LINE
  • Instagram
  • YouTube