うちのいちばんの商品は、
この僕だと
思っているんです。

家電などを価格だけで選んでいるとしたら、
それは損していると言いたいです。

僕は悔しいんです。全国にたくさんの街のでんきやさんがあるにもかかわらず、僕たち街のでんきやのことって、まだまだ知られていないと思う。いまは家電製品もネットで簡単に価格比較ができる時代ですが、価格だけで選んでいる方には声を大にして言いたいです。「家電などを買うときの価値基準が“価格”だけになっていたら、それは違う、それは損している」と。

松下幸之助さんは「価格というものは、サービスとかいろいろな便宜とかを総合した価値判断によって決めるべきもの。価格にはお店の魂が添えられている。魂が入っているから、何かあったときは責任をもってサービスもする」というようなことをおっしゃっています。

うちの店がある名張市は大阪や奈良のベッドタウンで、大型量販店も何店舗も出店しています。僕らの競合店がいっぱいあるわけです。量販店だろうとネットだろうと街のでんきやだろうと、買うときは、そんなに違いはないかもしれない。いや、価格的には僕らが不利なことのほうが多い。でも、いったんトラブルが起きたとき、すぐ駆けつけてくれるのは誰でしょうか。街のでんきやならではの価値を、もっと知っていただけたらと思います。

テレビが唯一の楽しみのおばあちゃんのために、
貸し出し機を持って駆けつけました。

先日も日が暮れる頃、あるお宅から、テレビが映らないとSOSのお電話がありました。もちろん、その日のうちに駆けつけました。即日対応はうちの店の鉄則です。

トラブルがどんな状況なのかは、実際に見てみないとわかりません。調べてみたら、リモコンの電池がなくなっていただけ、なんていう故障ではないトラブルも結構多いものです。

でも僕は、貸し出し用のテレビを軽トラックに積んで伺いました。もし、修理のためにお預かりすることになったら、テレビを見るのを唯一の楽しみにしている、そのお宅のおばあちゃんが寂しい思いをする。一晩でも、そんな思いをしてほしくないと思ったのです。

「ニイちゃんのとこで買ってよかったわぁ。これぞ、街のでんきやだ」

おばあちゃんからは、そんな言葉をいただきました。

故障すれば、その日から不便を来たす冷蔵庫や洗濯機やテレビなどは、店に貸し出し機を用意しておく。街のでんきやであれば多くの店が、きっとやっていることだと思います。

リフォームにおいても、“僕”という人間を
信頼してもらえるかどうかに尽きると思います。

生意気かもしれませんが、僕はリフォームについても、うちがやるリフォームと、工務店など建築屋さんがやるリフォームでは全く違うと思っています。

僕たちはお客さまのライフスタイルや、ときには趣味や好みなどプライベートなことまで知っていますから、暮らしやすさにきめ細かく配慮した、そのお宅にふさわしいご提案ができます。もちろん電気のスペシャリストですから、プランニングの際にはコンセントなどの位置も想定し、配線工事もスマートにできます。そのときだけのお付き合いの業者さんには、きっと真似できないという自負があります。

実際の施工にあたっては、大工さん、左官屋さん、内装屋さんなど、その道のプロとネットワークを組み、僕たちは元請けとして毎日、現場監督に赴きます。きっちりと現場をマネジメントしたくて、二級建築施工管理技士の資格も取得しました。ときには職人さんたちから、「的場はうるさい」と思われているかもしれませんが、少しでも気になるところは主張します。お客さまとは一生のお付き合いですから、生半可なことはできません。

どんな仕事もそうなのかもしれませんが、結局は“僕”という人間を信頼してもらえるかどうか、そこに尽きると思います。

これからも誠心誠意をモットーに、お客さま第一を貫いていきたいと思います。

うちの店は昭和20年に、私の父が創業しました。私も従業員もいつもピリピリ緊張するくらい、仕事に厳しい人でした。

厳しいとはどういうことかというと、お客さまを思うがための厳しさ。何よりもお客さまを第一に考えるという姿勢を貫いていたと思います。

私は息子の正樹に、店を継げと言ったことはありません。でも、お客さまのために一生懸命に尽くしていた先代の姿は、幼ない正樹の心にも刻みこまれていたのではないでしょうか。自分から、街のでんきやをやりたいと申し出ました。

この的場電機商会が、地域の方々にとって真にお役に立てる存在であるよう、これからも誠心誠意をモットーに励んでほしいと願っています。