人と人との距離が求められても、
こころはお客さまの
近くにいたいと思いました。

新型コロナの緊急事態宣言とともに、
独立・開業することとなりました。ーーー 店長　村山将志

トレンドむらやまが創業したのは、2020年4月。新型コロナ対策として緊急事態宣言が発令された一週間後のことでした。それまで20年以上勤務していた街のでんきやから独立しての開業でしたが、何という巡り合わせなのか、コロナ禍真っ只中での船出となってしまいました。

独立前からお世話になっていた馴染みのお客さまも多かったのですが、密を避けるため、賑やかにオープニングイベントをすることもできません。ステイホームが求められ、人と人が距離をとらなければならない日々が長く続きました。しかし、そんななかでも日常生活は営まれ、テレビが映らないとか、洗濯機が動かないとか、電球が切れたとか、おうちのお困りごとは待ったなしです。手を消毒しマスクをつけ、急いで駆けつけると、「来てくれて助かったわー。こんなとき頼めるのは、ムラヤマくんしかいないもの」と、ホッと安堵されたようなお客さまの笑顔。電気製品のお買い替えにあたっても、「外出するのもコワイし、ムラヤマくんの見立てでいいから、うちにぴったりのを持ってきて。うちのこと、いちばんよく知っているはずだから」とおっしゃっていただきました。時には、外出をためらうお客さまに代わって、日用品などのお買い物を代行してお届けすることも。街のでんきやというのは、家電の販売やリフォームにとどまることなく、ひとりひとりのお困りごとを手助けする終わりのない仕事なのだと独立したばかりの私は、この仕事の使命をますます自覚しました。

お客さまと直にお会いできない日々が続くなか、
かわら版『トレンドむらやま通信』が、
お客さまと私たちをつなぐ絆となりました。ーーー 妻　村山美千代

私は以前はバスガイドをしていたのですが、主人の独立とともに一緒に働く決意をしました。実は、街のでんきやさんは、私にとって子どもの頃からとても親しみのある存在。私の実家はあれもこれも街のでんきやさん頼みで、電気のことはもちろん地域のこともよく知っている街のでんきやさんは、何でも頼りになるスーパーマンのように思っていました。主人と知り合ったのも、私がひとり暮らしをしているとき、電子レンジを処分する相談をしに、主人が働いていた店を訪れたのがきっかけでした。

私は、街のでんきやというのは結局、人柄ではないかと思うのです。お客さまのお宅に上がることも多いですし、さまざまな生活のお手伝いをさせていただくためには、まず私たちのことを信頼していただかなければ始まりません。トレンドむらやまを創業する際にまず考えたことは、コロナ禍でお客さまに直接お目にかかることができないなか、私やスタッフという人間をどのように知ってもらうかでした。そこで考えたのが、かわら版『トレンドむらやま通信』を発行することでした。顔写真とともにスタッフそれぞれの自己紹介や日々の思いなどをつづりました。当初は郵送でお送りしていましたが、コロナ禍が落ち着いてからは、巡回訪問してのお手渡しも始めました。すると、「わぁ、おヨメちゃん、久しぶりー」なんて、実は初めてお会いするお客さまからニコニコとお声をかけられたりしました。いまも月1回の発行を続けていますが、お客さまと私たちをつなぐ良きコミュニケーションツールになってくれていると思います。

アナログのこころを持って、
SNSなどデジタルの活用を進めています。

リモートワークなどが一気に拡大したコロナ禍。「なかなか会えない孫の顔を見たいんだけど私らにもリモートとやらができるのかねぇ？」といったご相談が相次いで寄せられました。ITにまだまだ不慣れなお客さまもいらっしゃいますから、インターネットの接続から端末の使い方までお手伝い。「スマートフォンがおかしい。きっとヘンなとこ触ってしまった。どうしたらいい？」など、切羽詰まったSOSが来ると、急いで飛んで行きました。

また、うちの店としてもSNSを積極的に活用。特にLINEはお客さまとの間で大活躍。お使いの家電や設備に何かトラブルがあると、写真を撮って送っていただくことで状況が把握しやすくスムーズな解決に役立っています。そのほかインスタグラムやフェイスブックでも、新商品の紹介やお客さまのためになる情報、スタッフの働く様子などを発信。街のでんきや同士がお互いの取り組みを参考にして高め合う、交流の場にもなっています。

コロナ禍という大変な時代でのスタートとなりましたが、いつも「こころは密」に、地域のみなさまの生活にとけこむ店として歩んでいきたいと思います。