東日本大震災から7年半。
気仙沼にある災害公営住宅の一角から、
美しいハーモニーとはじけるような笑い声が響きわたりました。
東日本大震災によって自宅も店舗も津波に奪われた、気仙沼のでんきや“渡辺無線”さん。
ご自身も仮設住宅、仮設店舗の暮らしを送りながら、
地域のみなさんのオアシスとなるようにとコミュニティルームを開設。
勉強する場にも困っている子どもたちのための学習支援活動を行ったり、
ともすれば心が折れそうになる地域の人たちが集って励まし合えるイベントを開催したりと、
さまざまな活動に尽力してきました。
そして、震災から7年半を経て、鹿折唐桑地区に新しい店舗を再建。
その感謝の気持ちもこめて、NPO法人“東京ベルズ”のみなさんを招いて、
「のどピコ体操」コンサートを開催しました。
「つらいことを乗り越えてきたみなさまに、いつも元気に健康でいてほしいんです」と語る、渡辺耕良さん。
会場となった災害公営住宅の一角にある市民福祉センターには、
シニアのみなさんから、おじいちゃんおばあちゃんに手を引かれたお子さままで続々と集合。
午前の部、午後の部と2回にわたって開かれたコンサートは、明るい歌声と元気な笑顔があふれていました。
「のどピコ体操」とは、
NPO法人“東京ベルズ”を主宰する高牧康氏が考案した、
誤嚥性肺炎を防ぐための、声帯のアンチエイジング法です。
私たちの声帯は、加齢や会話の減少により、痩せてシワができ萎縮します。
声帯は声を出すためだけでなく、食べたものが気管に入らないようにする弁の役割も務めているのですが、
声帯が萎縮すると、食べたものが誤って気管に入る誤嚥をおこしがち。
肺炎のリスクを高めてしまいます。
ヴォイスティーチャーでもある高牧氏が、「声帯を鍛えて、誤嚥を防ごう」と考案したのが、
顔を動かしたり、裏声を使ったりして歌う、オリジナルの「のどピコ体操」です。
「シワができるのは、顔だけじゃないんですよー。実は、声帯にも・・・」
高牧氏の軽妙なトークとともに声帯萎縮について学んだあとは、さあ、みんなで「のどピコ体操」!
「誤嚥って、こんなふうにして起きるんですよー」。実際に撮影されたノドの動画を見ながら、
高牧氏のユーモアあふれる解説とともに声帯萎縮について学習。
初めて目にする声帯に、「えーっ、自分のノドもこんなふうになってるの?!」と興味津々のご様子。
そして、いよいよみんなで「のどピコ体操」!
♪のどピコ体操、まゆげから、上げたり下げたり下げたり上げたり・・・・・・♪
東京ベルズのみなさんと一緒に、まゆげを上げ下げしたり、
裏声を使ったりして歌う、声帯の体操を初めて体験しました。
みんなで、ご当地ソングや懐かしのメロディを大合唱。
そしてラストは、東日本大震災に寄せた鎮魂曲『夢で逢いたくて』の
美しいハーモニーが会場の一人ひとりを包みこみました。
大きな声で歌うことも、声帯にとっていい運動。
宮城民謡『斎太郎節』などご当地にちなんだ歌や、懐かしの大ヒットソングを大合唱。
どなたの顔も、みなで一緒に歌う楽しさに輝いています。
そして、数々のコンクールでも優秀な成績をおさめてきた
東京ベルズのみなさんのコンサートタイムでは、素晴らしいハーモニーにうっとり。
ラストに高牧氏が東日本大震災によせて創った曲『夢で逢いたくて』を歌い始めると、
ハンカチを目元にあてる方もいらっしゃいました。
渡辺無線さんから、全国の街のでんきやさんへと、
「のどピコ体操」コンサートが拡がっています。