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お客さまと店の間に“それぞれの物語”

vol.12街の元気への一歩となる話

店を失くしても、
電器屋を辞めようとは思わなかったですね。

あの日から1年4ヵ月が過ぎ、ようやくプレハブの仮設店舗棟で店を再開することができました。祖父の代から続く店も倉庫も自宅も流されてしまい、残ったのは軽トラック2台だけ。それでも、電器屋を辞めようとは思いませんでした。当時、避難先から地元の様子を見に来ると、かろうじて家が残ったお客さまから、漏電していないか見てほしいとか、アンテナや電気製品の修理をしてほしいとか、声をかけられました。お売りしたものの面倒は、責任をもって最後まで見たいと思いましたし、長年お付き合いくださっているお客さまの困難を放っておくことなんてできない。街の電器屋としての使命感が、この仕事を続けさせました。工具も何もないような状況だったのですが、全国の電器屋仲間が必要な道具を届けてくれたり、食料や服などいろいろ支援してくれて、本当にありがたかったです。いまも、感謝の気持ちでいっぱいです。仲間からは、あの頃は顔がひきつっていたぞ、と言われます。

仮設とはいえ店舗を再開できたのも、
お客さまの言葉が支えになっていたからこそ。

ずーっと店舗のない状態で仕事を続けていたのですが、心の支えになったのは、「また何か買うときは、あんたのとこで買いたいと思ってるよ」とおっしゃってくださった、お客さまの言葉です。従業員のおじいちゃんからは、「早くまた店を出してくれないと、うちの嫁の元気がでないよ」とも言われましたしね。みんなの励ましがあってこその再開です。いまの仮設店舗は、以前とは比べものにならないほど、小さな店です。でも、電器屋らしくしたいと、わずかではありますが冷蔵庫や洗濯機といった大物商品も並べています。仮設住宅には一通り電気製品が揃っていますから、正直、商売としてはなかなか厳しいのですが、商品があると、それだけで気持ちも明るくなりますね。

また、あの頃のように店があることが、
みんなの希望の拠り所になってほしい。

お客さまはあちこちバラバラになってしまいましたが、遠くの仮設住宅からでも、「お茶っこ、飲みに来たよ~」と昔なじみのお客さまが店にいらしてくださいます。「狭い仮設だと、気も休まらんしねぇ」などと言い合いながら、母とおしゃべりを楽しんでいます。考えてみれば、これまで、こんなひとときさえ持つ余裕などなかった。人と会えるって、いいですね。「お客さんの顔を見るだけで、元気がでるわぁ」と母もよろこんでいます。いまなお先の見えない暮らしが続き、ともすれば、お客さまも私たちも心が折れてしまいそうな毎日です。早く、ふつうの生活を取り戻したい。一面の更地のなかに灯る店の明かりが、「その日まで、くじけず頑張っていこう」という、みんなの気持ちの拠り所になればと願っています。

※ここでご紹介したサービスは、この店独自のものです。すべての店で行われているものではありません。

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